住宅資金の前にライフプランを考えよう
資金計画とライフプラン
住宅購入の際の考えないといけない二つの資金計画があります。
一つは住宅を購入する(建築する)までの資金計画と
二つ目は老後までの人生を見据えた資金計画:ライフプランです。
(※住宅購入の資金計画は「資金計画を考えよう! 諸費用も忘れずに」で触れていますのでそちらもご覧ください。)
このページのテーマ「ライフプラン」は色々な考え方があると思いますが、一つの考え方として読んでいただければと思います。
人生のイベント
当社にご来社されるお客様の一般的なとてもとてもざっくりした人生のイベントは以下のようなものです。
①結婚
②出産
③住宅購入
④子供の進学
⑤退職
⑥年金生活
が一般的かと思われます。(当然これ以外の選択肢はたくさんありますのであくまでも当社に来られて家を検討されている方の例です)
若くて所得が上がる前の方でも夫婦共働きであれば多少無理をして住宅ローンを組むことが出来ますが長い人生、良い時ばかりではありません。
お金の払い方が大きく変わる(悪いほうに)イベントとして
①年収合算で住宅ローンを組み共働きの奥様が出産を迎えると当然奥様は働けず所得がダウンする
②子供が私立の高校生に入学した為、毎月〇万円予想外の出費が
③さらに子供が私立の大学、または専門学校に入学し入学金と授業料が多額になる。
④定年を迎え雇用延長したが収入が大幅にダウン
住宅購入
以上からいま支払いができるぎりぎりの金額で住宅ローンを組むのは人生の途中で大きなイベントがあることで急に状況が変わり非常に危ういと思います
ここまで読まれると「住宅購入は危なくて手を出せないな」と思われるかもしれませんが、私は反対に上記を踏まえて住宅ローンを組み定年までに住宅ローンを完済して老後は極力出ていくお金を低フローにして備える方法がベターだと思います。
対策としては
① 金利支払いが勿体ないからと借入期間を短くするために「今払える額」最大でローンを組むのではなく、最大借入期間35年(最終完済年齢75才又は80才の条件があります。)で月々の支払いを低く抑えゆとりを持った計画を立てます。
② 子供の教育資金は学資保険や積み立てなどで計画
③ 60才定年までに住宅ローンを完済するために銀行の繰り上げ返済制度(下記参照)を活用し返済期間を短縮する計画を立てる。繰り上げ返済する財源としては
1. 住まい給付金
2. 住宅エコポイント
3. 住宅ローン減税
などを繰り上げ返済原資にすることで無理なく期間短縮ができます。さらに
4. マンションや中古住宅で対応していない場合は難しいのですが、新築住宅であれば、太陽光発電システムを搭載して余剰発電であれば払うであろう電気代と受け取る電気代をためて繰り上げ返済に充てることもできます。
→私共で繰り上げ返済のシミュレーションを行っていますお気軽にご相談くださいませ。
また、今までの例では諸条件により38歳の方が35年ローン、73歳完済計画が上記の方法でほぼ60歳までに繰り上げ返済のミュレーションができました。
子供の進学
これらを基に上記1.2.を最初に繰り上げ返済をして、その後は3・4を繰り上げ返済しながら、子供の進学を迎えたときに学資保険等で賄えられればそれで乗り切り、賄えなければ繰り上げ返済を控えて上記3.住宅ローン減税4.太陽光発電分のお金を学資の一部に充てることもでき、柔軟な対応が可能になります。
繰り上げ返済
繰り上げ返済なしで定年までに完済する計画で長期の住宅ローンを組む場合
定年60才-長期住宅ローン35年=25才
になります。
なかなか25歳で住宅購入をされる方は少ないかと思います。
現金で購入する・十分な頭金があり短期の住宅ローンでも全く支払いに不安が無い方はそれで全く問題はないと思いますが、頭金が少ない方や月々の支払いが重く感じる方は上記の長期住宅ローンを組み、繰り上げ返済を多用することでリスクを抑えることが出来るものと思います。
定年の収支
定年
今のところ60才で定年し雇用延長は65才までというのが一般的です。
(雇用を70才迄という声もありますがあくまでも現時点での話です。恐らくそのようになるのではないかと思いますが)
年金支給開始年齢
年金支給年齢は、住宅ローンをこれから組もうかという現役世代の方は現時点では65才からの支給となっています。
つまり60才から65歳までの間無収入になります。
年金額
また、年金は人によりさまざまで一概に言えませんが、今は日本年金機構から「年金定期便」のはがきが来ます、その中の「老齢年金の種類と見込額」の欄に幾らもらえるか書かれているので確認いただけます。
定年後の支出
総務省統計局 家 計 調 査 報 告家計収支編 平成29年(2017年)平均速報結果の概要(27-28p)によると
60歳~64歳の世帯が月額290,034円の支出と最も多く年齢階級が上がるにつれて低くなっていきます。
夫65歳以上妻60歳以上の世帯は235,477円となっています。
定年後の住居費
注目すべき点は消費支出の内訳で住居費が5.8%とあり金額にすると13,657円になります。
これは60歳以上の2人以上の世帯のうち勤労世帯の持ち家比率が92%とあることから住宅ローンが終わった持ち家で固定資産税と修繕費の支払いを前提にしているのではないでしょうか?(速報結果26p参照)
つまりここから読み取れることはアパートにお住まいの方はこの支出額にアパート代が上乗せされるということです。
例:アパート7万円家賃にお住いの場合は支出総額235,477円-住居費13,657円+家賃70,000円=291,820円/月の支払いになります。
ご自身の年金支給予定額から上記金額を引いた額が釣り合えばひとまず安心ですがこれがマイナスになり場合は対策を考えなければなりません。
結論
① 住宅購入の際の資金計画を立てる際にはライフプランも併せて考える必要があります。
② 住宅ローンは繰り上げ返済で調整することで人生のイベント(子供の進学による学資負担増)に柔軟に対応が可能
③ 勤めでの収入が無くなる定年に合わせて老後の支出を極力抑えるために住宅ローンを終わらせる計画を立てる必要があります。(アパート・借家の場合は一生支払い続ける必要があり老後に大きな負担がかかります)
定年までに住宅ローンを完済でき、退職金がある会社にお勤めであれば住宅ローンの一括返済する必要が無く無年金時代と年金時代の収入不足分にあてがうことが出来ます。
普段なかなかライフプランを計画するきっかけがない場合はこのような機会を利用して無理のない資金計画とライフプランを建てていただければと思います。